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鴛鴦茶餐廳 いんよんちゃ~ちゃんてぃん

香港ときどき台湾、日本。猫と共に三都物語。


by mangonaoko

青空の下でいただくトタン食堂~香港大牌檔

大牌檔

英語名は「Dai pai dong」、広東語の発音そのまま明記なのですが
この言葉は中国語・・というよりは、香港独自の単語といってもいいかもしれません。

第二次世界大戦後に発展して出来た大牌檔
日本語で訳すとしたら屋台という感じでしょうけれど、その規模は屋台以上のものでした。
鐵皮箱と呼ばれる、トタンで出来た小屋に厨房機能を集中させ
路地いっぱいに木で出来たテーブルや椅子を出す大牌檔
もともと「檔」とは固定しない流動的なもの(屋台)を指す言葉
当時店舗という構えが少なかった香港では、必然的に増え続け香港の文化にまでなったものでした。

このような大牌檔、現在では香港島の上環や中環に集中しています。
それはその当時中国人が香港島のこのエリアに住むことが多かったからとか・・・
九龍側ですと今は深水埗に数店残るくらいでしょうか。
それもそのはず、衛生面などの理由から80年代以降政府は経営のライセンスを発行しなくなったのです。
そのためお父さんが経営していた店も、ライセンスが切れれば息子が受け継ぐこともできない・・・。

その後建設された団地の中の冬菇亭と呼ばれる、大きな食堂の中へ移るようになったのですが
経営方法が似てるとはいえ、一応固定の場所になり且つあの鐵皮箱ではない店構え。
それでも「青空の下で食べる」という点が似ているので、総じてこれも大牌檔と呼ばれるようになりました。

青空の下でいただくトタン食堂~香港大牌檔_a0132659_10311481.jpg


麺をはじめ、小菜と呼ばれる炒め物料理やお粥・・・煲仔飯などのご飯物
それから香港ならではの奶茶(ミルクティー)などの飲み物から甘いおやつまで・・・
今の茶餐廳ほどのメニューの多さはないけれど、お店によって特色のある大牌檔
多くが家族経営、そしてお隣の店同士協力しあってが当たり前
そのため来るお客も「奶茶はこのお店」「麺はこっちのお店」などというように
テーブルの上に2-3店舗の品が並ぶのも、大牌檔ならではの光景だったりするのです。

冬菇亭も少なくなった現代では、街市(市場)のビル内にあるフードコートに移っている大牌檔
経営が続けられるとはいえ、以前と違い路地ではなくビルの3-4階に位置するフードコート
人の目に触れる機会も少なくなるこのスタイルは、多くの大牌檔経営者にとっては不本意という声も。
でもライセンスがもう発行されない以上、やはり以前のようなスタイルは出来ないのが現状なのです。

中環にあった有名な「民國麺家」
当時ライセンスを持っていたご主人が他界後、政府は当然のようにそのライセンスを回収予定。
ところが香港のメディアや多くの市民が、香港ならではのこの食文化をなくしたくないと声を上げ
各界の有力者も協力して存続の運動などしましたが、結局2005年12月に閉店となりました。
今はすぐ近くの場所にて茶餐廳形式で営業をしている「民國麺家」
でも・・・昔のあのスタイルを懐かしみそして惜しむ声は今でも多いと聞きます。

灣仔の再興燒臘飯店
中環の鏞記や九記牛腩

もともとは同じように路地にせりだしていた、青空の下で食べるあの大牌檔
今は店舗として立派に構え、香港の味を提供する有名店となりました。
現在昔のスタイルで営業が許されているのは20数店舗だとか・・・・
衛生面の問題をなんとかうまくクリアして、「香港文化」として存続できることを願ってやみません。




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by mangonaoko | 2012-09-01 10:01 | 香港水彩畫