人情のつまった菠蘿包~1.5ドルを握り締めて
2011年 08月 31日
14年前の物の値段って覚えていますか・・・
日本だと消費税が5%に上がった頃でしょうか
香港は返還された頃・・・・・ついこの間のようでいて、随分前にも感じるそんな14年前。
そんな頃からパンの値段を上げないで、今も頑張っているパン屋さんがあります。
深水埗の一角にあるパン屋「櫻桃麪包西餅」
香港のパンは5ドル前後が主流、日本に比べたら随分安く感じるその価格ですが
このお店で売られている菠蘿包や雞尾包は、なんと1.5ドルなのです。
そのほかのパンも腸仔包 2.5元、蛋撻 2元、紙包蛋糕 2.5元・・・いずれもなんて良心的。
この14年・・・粉も卵の全ての材料も、もちろん家賃も値上がりしています。
金融危機もあり決して情勢が良いとはいえない今の香港で、でもずっとずっとこの値段なのだとか。
ご夫婦で切り盛りしているこのお店、ご主人がこう語っていました。
「1.5ドルで儲けは出ない、まさに薄利多売。
でもここ深水埗には老人も低所得者もたくさん住んでいる
私たちが値上げしたら、皆はどうやって食べるの?
だから値上げはしない・・・その代わり少なくとも1日5000個は売らないと!」
この店にパンを買いに来ていた女性は、ご主人が他界して子供が2人いるとか。
彼女にとってここは天国、いつも10個パンを買って帰るそうです・・・10個でも15ドル
おかずだってこの値段じゃ買えない、でも10個のパンは2食にもなる
彼女がこう言っていました
「子供も家計の事情を理解している・・・だからいつもパンでも何も言いません。
私は1食パン1個で十分・・・・残ったお金は子供の交通費や教育費にあてられますから」
翌日でも美味しく食べれるそのパンは、彼女の家計も支えているのです。
でも・・・この値段で商売が楽というわけがありません。
パン屋のご主人は毎日夜中2時に起きて、6時開店に向けてパンの準備にとりかかるとか
「誰もが社長は何もしないでいいと思う。でも人を使えば支出も増える・・・それでどうやって続ける
だから自分の希望でこうやって全て自分でやるんだよ」
だからこそ・・ここの菠蘿包には人情が溢れているといいます。
普通の菠蘿包だけど、でも言葉では表現できない「味」が包まれているのですね。
そうそう・・先ほどのあの彼女がこうも言っていました。
大手チェーン店のケーキはホールで100ドル以上、でもここのケーキは3-40ドル
これだったらお誕生日を祝ってあげられる・・・・・・。
大好きな菠蘿包、大好きな雞尾包
今度はこんな人情のつまってるパンを食べよう
特別でもない、有名人が紹介もしていない・・・でもここのパンはきっと香港一でしょうね。
追記:あいにく私もまだいったことないので、写真のパンは別のパン屋さんのものです。
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看板娘ルノー(ご夫婦の努力あってのこの値段)
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香港情報担当しています(8/23NEW 飲茶のあのお話)
by mangonaoko
| 2011-08-31 06:29
| 香港だより