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鴛鴦茶餐廳 いんよんちゃ~ちゃんてぃん

香港ときどき台湾、日本。猫と共に三都物語。


by mangonaoko
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イギリス勲章をもつ香港猫~英国海軍サイモン

よく考えてみると空港に向かうバスでしか通らない道・・・西九龍公路
この道を通るたびいつも視界に入るある景色が、実はずっとずっと気になっていました。

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昴船州

丘の上に建ついくつかの洋館、イギリス時代に建てられたと思われるその建物は
実際に海軍の寮やレストランとして使われていたものということです。
あいにくこちらは一般立ち入り禁止区域、こうやって道路から見るしかできません。
近くにいっても下から見上げたのでは、まったく様子が伺えないですしね。

そんなここ昴船州で生まれた・・・1匹の猫ちゃんの話があります。
1948年、香港昴船州の造船所にいた猫が、17歳のイギリス二等水兵と出会い拾われたのです。
推定1歳くらいだったその猫の栄養状態は良いとはいえず
その彼はこっそり自分の乗艦に連れ込んで、餌をあげ面倒を見ていました。

Simon・・・サイモン

こう名づけられたこの白黒の香港猫は、ねずみ捕りがとっても上手
あっという間に船員たちから可愛がられ、英国のスループ艦アミシストの一員となったのです。

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船の中のねずみを捕らえ、船員の心を癒したサイモンは、幸運のマスコットとして可愛がられ
艦長が替わっても、アシミストの一員として乗船し続けました。
サイモンを乗せ、警備任務の交代艦として中国揚子江に向かったアシミストは
ここで揚子江事件に巻き込まれ、中国から砲撃を受けたのです。
艦長も戦死し、サイモンも爆弾の破片で負傷しましたが、手当てを受け幸いにも命は助かりました。

サイモンはイギリスやWorldニュースで賞賛され、気づけば有名猫
しかもDickin Medal(ディッキンメダル)まで授与されたのです。
このメダルは戦争で活躍した動物に与えられるイギリスの勲章
ちなみに鳩は32羽、犬は18匹授与されたらしいですが、猫はこのサイモンただ1匹だそうです。

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人間が大好きで、捕まえたねずみを皆に見せるためにベットに置き
自分は艦長の帽子の中で眠っていたというサイモン
きっと利発な猫ちゃんだったんでしょうね。

香港の造船所にいた1匹の猫は、こうやってイギリスに渡り国民の大歓迎を受けたのです。
サイモン宛の手紙が殺到し、返事を書くため専属の兵士が任命されたというのですから・・・。
イギリスの動物センターで余生を過ごしたサイモン
戦傷に起因するウイルス感染の合併症で、3歳になる前に他界しました。
ロンドンでのサイモンの葬儀には、数百人というアミシストの乗員が参列したそうです。

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船の上で一番大きいネズミを捕まえたその功労を評価され
実はサイモン、二等水兵にもなったとか。
香港で生まれ、水兵になり勲章まで授与された世界でたった1匹の猫
船の上で過ごすたくさんの人の笑いを誘い、心に安らぎを与えていたのですね。

わずか3歳で他界したとはいえ、その一生はとても濃いもの
人間ですら恐ろしい砲撃を船の上で受けたのですから、どれだけ怖い思いをしたことでしょう。
現在遠いイギリスで眠るサイモンの墓石にはこう記されているそうです。

IN
MEMORY OF
"SIMON"
SERVED IN
H.M.S. AMETHYST
MAY 1948 — SEPTEMBER 1949
AWARDED DICKIN MEDAL
AUGUST 1949
DIED 28TH NOVEMBER 1949.
THROUGHOUT THE YANGTZE INCIDENT
HIS BEHAVIOUR WAS OF THE HIGHEST ORDER

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イギリスの海軍も、スループ艦も今の香港にはいなくなってしまったけど
もしかしたらサイモンの家族の子孫が、今もこの香港で走り回ってるかもしれません。

そうそうサイモンの勲章は、複製されてイギリス海軍のお土産にもなっているとか。
いつか機会があってイギリスに行くことがあったら、眺めてみたいような・・・・・
いいえ、叶うのならばその墓石に手を合わせたい・・・そんな気分にさえなるサイモン物語

記録では、勲章の授与式で「ネズミを捕らえた」という功績がきちんと読み上げられたとか
人間と同じようにきちんと授与されるんですね。
そしてこう記されているそうです・・・「サイモン、言う言葉なし」
猫ですから言葉は言えないけれど、利発なサイモン・・きっとニャンって返事したかもしれませんよね。

いつも通り過ぎる車窓からの昴船州
次に通るときはきっと探してしまうかもしれません・・・・その丘を走る猫がいないかどうかを・・・


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看板娘ルノー(甲板を歩くサイモンの姿も・・・)

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Commented by 小謝 at 2011-09-03 04:27 x
 動物は人の心を癒してくれます。サイモンもどれだけの人の心を慰めたのでしょう。ずーと昔イギリスに行った時、交通事故で
はねられた犬の現場検証を見たことがあります。人と同じ扱いに少し驚いた記憶があります。
イギリスの方は、特に動物好きですもの。サイモンも戦火をくぐり立派に生きたのですね。
我が家にも何十年も前、トーマスというシャム猫が居ました。
今でも思い出すことがあります。
サイモンの子孫が香港にきっと居るでしょう。
Commented by TOUKO at 2011-09-03 08:21 x
国を離れ船上で危険と隣り合わせの水平さん達にとってどんなに慰めになった事でしょうね・・何十年も経った今もこうやって私達の心に響かせてくれる・・
従姉妹が病気で死にそうになってた野良猫を病気の間だけ、と世話をしたら元気になった後、毎日毎日玄関にプレゼントを置いて行ったそうです。プレゼントが一週間続いて従姉妹は飼う決心をしたとか。猫ちゃんのプレゼントは気持ちだけでいいのですけどね。そこに居て幸せそうに熟睡してる姿を見てるだけでも癒されます。
Commented by mangonaoko at 2011-09-03 14:55
>小謝さん そうですよね、動物の癒しって本当に大きな力だと思います。イギリスではワンちゃんの交通事故でもそんな風にきちんと処理してくれるのですね・・・・・私も外国の映像で死んだ猫をちゃんとキャリーに入れて動かしてる様子を見たことがあります。ダンボールに簡単に入れるのではない、ほんと小さな違いかもしれないけどとても心に響いたものです。
サイモンの話は私も知ったばかり・・・・拾われた頃は栄養状態が悪かったとのことなのでそのままだったら死んでいたかもしれませんよね。命は長くなかったけど、皆に愛されて幸せな子だったと思います。
Commented by mangonaoko at 2011-09-03 15:05
>TOUKOさん この話はもう70年ほど前・・・・でもそのいきさつを聞くだけでなんともいえない気持ちになります。甲板を歩く姿や、皆にいじられてる写真を見ると、こんな小さな体でこの子はちゃんと自分の役割を果たしていたのだなぁ・・・と感心します。でも・・・可愛らしいですよ、その姿。
その従姉妹の方が助けた猫ちゃん、1週間もプレゼントだなんて感動ですね。私も何度かタマファミリーにもらいました・・・ビックリするものばかりなんだけど(笑)でも嬉しいですね。
Commented by mimi姐姐 at 2011-09-03 19:32 x
17歳のイギリス二等水兵と出会いによってサイモン君は艦内でみんなに可愛がられ、心を癒し、幸運のマスコットとして。70年後私たちの知るところとなりました。 17歳の青年がこっそり艦内に持ち込んだその勇気、そして規則に縛られることなくみながそこにサイモンがいることを認めたその気風がなんだかとっても自由で素敵。 出会いって本当に縁ですよね。
Commented by mangonaoko at 2011-09-04 19:57
>姐姐 そうですよね、本来猫は飼ってはいけなかったかもしれないのに、こうやって一員として迎え入れられたことって素敵なことかもしれません。この場所で生まれた1匹の猫が、こうやって船に乗るようになるなんて猫本人も想像しなかったでしょうね。
船には相当のネズミがいるでしょうから、ちゃんとお仕事もこなしていたってことでしょう♪ ちなみに一番大きいネズミは船員から「毛○東」って呼ばれてたらしいです・・・・歴史的な部分に触れちゃいますけどそれだけに大絶賛されたんですって、彼らに。
by mangonaoko | 2011-09-03 00:10 | 香港だより | Comments(6)