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鴛鴦茶餐廳 いんよんちゃ~ちゃんてぃん

香港ときどき台湾、日本。猫と共に三都物語。


by mangonaoko

残りの20%になりたいんですか?~香港不動産買い上げ

数億円ともいえる豪華マンションが競うように並ぶ場所もあれば
築50年や70年という唐樓が立ち並ぶ、昔ながらの風景が見える場所もある

再開発とお金儲けは常に背中合わせ

古い建物が気づけば取り壊されていて、数ヶ月後にはマンションやショッピングセンターと姿を変えるけど
「気づけば」というまでの長い間、そこに関わる人は悩み苦しんでいるということを
傍から見るだけの部外者は、もちろん知るよしもないのかもしれません。


土地の狭い香港、投資として不動産の価値が日本以上の香港
返還されて10年の間にさまざまな変化が起こっている中、不動産もそのひとつでしょうか。
億単位のマンションを、現金で買う人も多いという大陸からの中国人の影響で
不動産価格は上昇を続けるばかり、便乗でお金を儲けようという人も少なくありません。

道路の建設のため、再建のための立ち退きは香港だけに限らないこと
以前日本でも、成田空港付近の立ち退き問題がニュースになったこともありましたが
お金だけで解決できない、「同意」が得られなければ進まないのが・・・・・本来の立ち退きでしょう。
以前の香港も同じでした。
住民の住む建物を買いたければ、1軒1軒交渉して同意を得ていく。
1軒でも反対があれば、その話は先に進まない・・・・・それは当然のこと、住む人がいるのですから。

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ところがここ近年香港の法律が変わり、8割の同意を得られれば権利を持てるようになったのです。

100%と80%・・・・・この差は、ただの割合の差だけでは収まらなくなっているのです。
不動産会社とは別に存在する、買い上げ専門の業者。
買い上げしたい建物がある場合、まずはその内容の手紙を各家に配布します。
その内容やタイミングはその時や業者によって様々でしょうけど
共通して言えるのは、その紙面にはたいていこう書かれているのだとか・

「もう相当数の同意を得られています。あなたはまだですか?
これが最後のチャンスですよ」

8割の同意を得られれば、買い上げ可能となる今の法律。
どんなに価格の交渉をしていても、同意をせずにいてもし8割の同意が揃ってしまったら・・・・・
残りの2割の人には交渉の権利はないのです。
業者の言い値や、公開オークションで格安に設定されたお金を渡されるだけで
その家を出なければいけない、そういう事態に見舞われるのです。

残りの20%になりたいんですか?~香港不動産買い上げ_a0132659_6324650.jpg


「2割になるくらいだったら、早く同意して出ていったほうがいいのではないか」

誰が同意して、誰がしていないのか分からない状況の中、その圧力は相当でしょうか。
しかも業者名でなく、別名や個人名で1軒軒ずつ買っていく
そのため調べようとしても、実際の同意数や買い上げ数は分からないことが多いといいます。

「500万って言ってるから、もうサインをしてしまおう」

業者が言ってきた額で納得をして同意書にサインをしてしまったとしましょう。
でも・・・・・・ここには記されいないのです、いつ買ってくれるかということが。
不動産知識や法律に明るくない一般市民、そんなことに気づくこともなくサインをしてしまうとか・・・・。
ところがいっこうに買い上げの気配がない・・・・・サインはしているのに・・・・・。
業者はひとまず同意書のサインだけ取り、同時に他の部屋と交渉しているのです。
そしてもっと安い金額で同意した部屋から買い上げていく、そのほうがリスクが少ないですから。
でも、サインをした人はもう他の不動産に売ることはできません、それをしたら契約違反なのです。
ただの同意書かもしれないその紙には、そういう点だけははっきり明記されているのでしょう。

最悪のケースは、サインをしたのに最後にこう言われるのだとか
「もう8割買い上げが終了しました。あなたは公開オークション対象になります」

サインをしたのに、買ってくれない
でもサインをしたからもう他に売れない
まるで手錠をかけられた状態で、最初の値より200万も安く決定した家がある番組で紹介されていました。
200万ドル・・・・・日本円にして2000万円も安くされ、次の住まいを買える保証はどこにもないのです。

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ある家に住む女性は、毎日家に帰るのが怖いといいます。
なぜなら買い上げですでに何人の人が出て行ったその古いマンション
彼女はその空家を何件も通りすぎ、階段を上らないと家につかないのです。
誰もいない家は、鍵もかけられず扉が開いたまま・・・・・中に人がいても分かりません。
人が突然出てきて襲われるのではないか、中に何かあるんじゃないか・・・・
家のドアにも何重に鍵を取り付けていたこの夫婦は、しばらくして引越しを決意したそうです。


何度も入る「まだ出ませんか」というビラ
壁やドアに張られる、「買い上げ決定」の紙
買い上げが決まった後、短期間の間に何度も起きる建物内の火災
空家の前なのに、なぜか積み上げる異臭を放つゴミの山
住んでいる人がいるのに、突然止められる電気や水道


聞いてるだけでは分からない、体験しなければ分からないその状況
だって聞いてるだけならこう思うはず・・・・・調べればいいだとか、皆に聞けばいいだとか。
でもよく分からない不動産売買や契約、そこに圧力が加われば精神的にも参ってしまうはず。
もちろんきちんとした業者にあたり、納得のいった上で部屋を売った人もたくさんいます。
これはほんの一部・・・・でも一部でもこういう業者が存在するのが現実だそうです。

再開発とか建て直しで買い上げ対象になるのは、たいていが築年数の古い建物
そしてそこに長く住む人たちは、けっして高所得の人でないことが多いはず。
今までに何度となく耳にした、一部の業者の耳を疑うような強行な手段・・・
そして自分が好きだった古い冰室の閉店で、また出てきたこの名前

再開発とお金儲けは常に背中合わせ

10年後の香港の姿はどうなっているのかな・・・・



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(ごめんなさい、バレンタインにこんな話題)

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香港情報担当しています(2/6 更新☆~紅豆のおはなし)


by mangonaoko | 2012-02-14 06:38 | 香港だより