おばあさんのスローペースに合わせていただきます~志記小食
2015年 05月 16日
お昼を食べた後に楽しんでいた長洲散策の途中、
通りがかったのはシャッターが閉まった小さな小さな店。
開店前というよりは「営業していません」的な雰囲気満載。
中の様子も何も見えない、ただシャッターしか見えないお店、
気づかないというより意識にも止めずに通り過ぎるのが普通でしょう。
“あ、ちょっとここ寄って行く”
と言って、友人がその中途半端に開いてる隙間から店内を覗いていくと、
中には背の低いおばあさんが一人何かの準備をしている様子でした。
なんでもおばあさんの力じゃ、1人で開けるには力が足りないとか。
なので開けられる範囲だけ小さく開けることが多いのだそうです。
彼女が開けたシャッターの向こうから見える「長洲馳名雞蛋仔」の文字。
私もここで初めてこの店がどんなお店か分かりました。
年季が入った店内に置かれるのは、やはり時代を感じさせるものばかり。
お店と自宅が一緒になったような雰囲気のこのお店、
実はご夫婦で営業していたそうですが、ご主人が他界し今はおばあさん1人で切り盛りしてるとか。
入り口すぐそばに置かれている魚旦。
壁に貼られているイラスト入り価格表は、ここの常連さんが描いたんですって。
と友人が聞いてくれましたが、はたして注文可能な状態なのかが分からない。
無理をするほどお腹が空いてるわけでもないけれど、食べてみたい好奇心があるのも本音。
結局注文には全く問題がないということで、名物の雞蛋仔をお願いすることにしました。
よっこらせ・・・という感じに、ゆっくり準備を始めるおばあさん。
炭焼きということで有名らしいですが、鉄板も何も年季が入っていい味出してます。
背が低いおばあさんにとって、雞蛋仔を作るあの鉄板はかなり負担がかかるはず。
以前上海街で買ったことがありますが、かなり重量があるんですよね。
緩く扇風機が回る生暖かい店内、炭の近くは更に暑いことでしょう。
と、炭焼きの近くに1枚の団扇を発見。
暑いんだからそれで扇いだほうがいいんじゃないかと友人に話すと、
あれは焼きあがった雞蛋仔を冷ますときにのみ使うのだとか。
待ってるだけでも暑いのに、年齢的にも辛いんじゃないかと心配になりますが、
こちらの心配をよそにゆっくりゆっくりマイペースで焼き上げている様子です。
きっと常連さんなんでしょう、慣れた手つきで勝手にここから欲しい数を出しています。
おばあさんに声をかけてお金をパッと置いていく・・・
こういうやりとり、言葉はないけれど通じ合ってるのが分かっていいですよね。
週末など観光客が多いときは、ここで待つように・・・とのこと。
なぜなら焼くのはあのおばあさん、器械で焼くようなスピードとはいきません。
ここで食べたいのであれば、ゆっくり気長に待ちましょう。
そんな風にゆったりとした気持ちと余裕がないと、ダメなのかもしれませんよね。
香港は何でもスピードが速い、様々なものがスピーディーに提供されるのも普通。
でも逆にそれに慣れてしまうと、ちょっとしたことが遅いと思ってしまうもの。
スピードって早いのもいいけれど、早いほど「余裕」を失う原因になりますよね。
今月末にはあの有名なお祭りも予定されている、ここ数年観光客急増の長洲。
でも元々は小さな島、すでにそのキャパを越える観光客が毎週押し寄せているのだとか。
ここに限らず観光地はそうですが、特に週末などは地元住民が出かけるのも一苦労。
赤柱とか西貢、それから大澳なども同じですよね。
ここ長洲では試験的にフェリーの地元住民優先ゾーンを作る・・・
と先日報道されていましたが、これは個人的にも気になる話題。
私も若干観光地に近いエリアに住んでるため、こういう対応の効果は注目なのです。
お洒落なお店も増えつつある長洲。
でもあのおばあさんのお店だけは、ゆっくりした昔ながらの空気が流れています。
営業時間や定休日は不定期。
でもシャッターを1人で開けられない年齢を思うと・・・・
「無理しないで開けてくださいね」って言いたくなりますでしょう?
島を訪れたときに開いていたら嬉しくなる、
そんな気持ちがゆったり優しくなる、小さな小さな小食店なのです。
志記小食
長洲北社街(北帝廟側)
【香港~6月】
平日:10:00~12:15 (佐敦)
3日(水)5日(金)8日(月)10日(水)16日(火)
17日(水)24日(水)26日(金)29日(月)30日(火)
週末:9:45~11:45 (太子)
7日(日)21日(日)
参加費:1回200HKD 2回390HKD 3回550HKD
※絵手紙コース 200HKD(1回)も受付中
by mangonaoko
| 2015-05-16 19:29
| 餐廳