台風の被害は当日だけにあらず~被害甚大台風「山竹」
2018年 09月 18日
約10時間香港に猛威を振るった大型台風。
前日土曜日は台風が来るのがウソのような天気でしたが、
日付が変わる頃から天気は変化し、日曜朝にはすでにシグナル9が発令されていました。
今回の「山竹」
一言で表現するなら、今まで経験した中で一番恐怖を感じた台風でした。
私は山間の小さな村に住んでいますが、それでも家が飛ぶんじゃないかという強風。
ガラスが鳴り響くというんでしょうか。
そしてその振動で家の中でも風を感じ揺れを感じる。
いつまでもいつまでも弱くならない強風。
しまいには何かが割れる音、何か大きなものが飛んでくるような音が聞こえ始めてきました。
ヒューヒューという音からゴーゴーという唸りに変化する風の音。
クーラーの場所から
窓の隙間から
気づいたら水が部屋に侵入
台風で1日家にいるからと予定していた作業なんて、落ち着いてとりかかることも出来ません。
繰り返されるテレビニュースの報道映像を見て、その被害のひどさに愕然とし、
そして新たに更新されるたびにまたその被害レベルに愕然とする。
家族や日本の友人から大丈夫かと続けて入る連絡に、
全体的には大丈夫じゃないけど、ひとまず自分は大丈夫だよと返信をする。
山に囲まれたしかも1階でこれだけの風なのだから、
海沿いや高層ビルの上層階なんていったいどのくらいの恐怖感なんでしょう。
そしてフェイスブックなどで立て続けに更新されていく、ありえないような光景の写真に映像。
地震時のようにゆっくり前後に揺れる高層ビル
ガラスの多くが吹き飛んだオフィスビル
海と陸の境目がまったく分からなくなった海沿いの街
空箱のように吹き飛んだ天台小屋
マッチ棒のように崩れ落ちる竹の足場
そして311の津波を彷彿とさせる高潮被害の埋め立て地区
その強風大雨を想像以上に長く続き、弱まったと感じたのは日が落ちた後だったと記憶しています。
とりあえず打ち付けるような風が収まったことに安心し眠りについた日曜夜。
ところが台風が残した爪痕を実際に感じるのは、翌日の月曜になってからでした。
翌朝6時にはシグナル3に変更。
普通だったら出勤しないといけないと嘆くだけの朝なのですが、外の様子はおそらく誰もが想像以上と感じたことでしょう。
香港全体でどれだけの樹が倒れたのか、というくらい至るところで目にするこれらの光景。
その影響もありバスやミニバスは早朝から運行休止を発表、残る公共交通機関は地下鉄のみとなりました。
その地下鉄だって一部は規制運転、そこに通常バスなどを利用する人も殺到するのだから各駅は大変なことになりました。
ホームどころか駅自体に入れない数百人の人。
バスもミニバスも動いていないのだから、他に振り返る術だってありません。
こんな甚大な被害をもたらした台風直後なのに、なんで政府は休みにしないんだ、せめて半日休みにするべきだ。
という声がニュースやフェイスブックなどありとあらゆる場所であがっていました。
依然の雨傘運動の時も感じましたが、こういう時に感心さえしてしまうのが香港人のこのユーモアさ。
金鐘近くで撮られた普通の1枚の写真だったのですが、よほど雰囲気がマッチしていたのでしょう。
気づいたらこんな風に映画のポスターとして生まれ変わっていました。
返工とは広東語で出社という意味、そして出演は香港サラリーマン、もちろん公開日は昨日の日付です。
当日といい昨日といい痛いくらいに感じた山竹の威力と爪痕。
あまりにすごすぎて、途中で何かアップする気になれないのはもちろん、
今日のこれを書くにも正直時間がかかったくらいでした。
まだ火曜、台風から2日しか経っていません。
まだまだ街中には溢れて残る、倒れた樹に壊れた物。
1日も早く通常通りの生活が戻ってきますように。
by mangonaoko
| 2018-09-18 09:41
| 香港だより